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山口地方裁判所 昭和32年(ワ)194号 判決

原告 山口くろがね工業株式会社

被告 下関くろがね販売株式会社 外一名

主文

被告らは原告に対し金五万五五七五円及びこれに対する昭和三二年九月三〇日から支払ずみまで金一〇〇円につき一日金五銭の金員を支払うべし。

原告その余の請求を棄却する。

訴訟費用はこれを二分し、その一を原告の、その余を被告の各負担とする。

この判決は原告勝訴の部分にかぎり被告らに対し各金一万円の担保を供するときは、仮りに執行することができる。

事実

(原告)

原告会社訴訟代理人は、「被告らは原告会社に対し各自金一七五万八六四六円及びこれに対する昭和三二年九月三〇日から支払ずみまで金一〇〇円につき一日金五銭の金員を支払うべし。」との判決竝びに保証を条件とする仮執行の宣言を求め、請求の原因として次のように述べた。

一  原告会社は、自動三輪車くろがね号及びその部品の販売を業とする商人であり、被告会社は右自動三輪車及び部品を原告会社から買い受けてこれを下関地域における顧客に販売することを業とする商人である。

二  原告会社は、昭和三一年五月一八日被告会社との間で、被告会社を下関地域における特約販売店とし、これに自動三輪車くろがね号及び部品を継続的に供給することとし、被告会社が右製品を販売するときは(1) 車種により頭金を金一〇万円若しくは金一五万円以上、六ケ月月賦を原則とすること (2) 顧客から受け取つた総代金は直ちに原告会社に引き渡すこと (3) 下取車は被告会社においてその販売の責任を負うものとし、下取価格より高価に売却したときは被告会社の利益となり、安価に売却したときは下取価格との差額を原告会社に支払うものとすること (4) 被告会社が債務の支払を怠つたときは期限後金一〇〇円につき一日金五銭の損害金を支払うこと等の約定を結び、被告徳本直助は同日被告会社が原告会社に対し負うことあるべき一切の債務について連帯保証をした。

しかして、原告会社は同日から被告会社と右契約に基く取引を開始したが、同日から昭和三二年六月末日までの間自動三輪車くろがね号を売り渡し、現に金一三〇万七五八〇円の売掛残代金債権を、昭和三一年六月から同年一〇月三〇日までの間右自動三輪車のタイヤ・ピストン等の部品類を売り渡し、現に金五万六〇六六円の売掛残代金債権を有する。

また、被告会社は昭和三二年一月頃金八万円で下取した車を金一万五〇〇〇円で、同年四月頃金六万円で下取した車を金一万円で、金一二万円で下取した車を金一万円で、金二〇万円で下取した車を金一九万円で、金一五万円で下取した車を金一万円でそれぞれ売却したので、原告会社は右(3) の約定に従い被告会社に対し右差額の合計金三九万五〇〇〇円の支払請求権を取得した。

三  よつて、こゝに被告らに対し各自右合計金一六五万八六四六円及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である昭和三二年九月三〇日から支払ずみまで約定による金一〇〇につき一日金五銭の遅延損害金の支払を求める。

四  被告らの抗弁事実を否認する。

(被告ら)

被告ら訴訟代理人は、「原告会社の請求を棄却する。訴訟費用は原告会社の負担とする。」との判決を求め、答弁及び抗弁として次のように述べた。

一  原告会社主張の事実のうち、原告会社及び被告会社がそれぞれその主張のような営業を行うものであることは認めるが、その余の事実は否認する。

二  被告会社は昭和三一年五月頃から同年一〇月頃までの間原告会社の販売する自動三輪車及び部品等をその委託に基き取次販売し、若しくはその売買の仲介をしたに過ぎないものであつて、原告会社から直接右製品類を買い受けたことは全くない。

すなわち、被告会社が買主たる第三者に対し自動三輪車の製品を売却するに当つては、代価その他の売却条件はすべて原告会社の指示するところにより、下取車がある場合にはその下取価格も原告会社の承認によつてこれを定め、第三者から受領した代金、下取車、支払のための約束手形等はすべて直ちに原告会社に引き渡すこととなつていたのであつて、売買契約上の売主たるの権利義務は挙げて原告会社に帰属し、被告会社はこれによつて単に手数料を得ていたに過ぎないのである。

三  ところで、被告会社は右の取次販売ないしは売買の仲介をした件について、買主たる第三者が割賦払金の支払を怠つた場合又は売渡自動三輪車の性能が不良であるため代金の支払が得られない場合、原告会社の指示或いはその承諾を得て、売渡自動三輪車等を引き揚げ、売買契約を合意解除するという処置を採つて来た。そして、昭和三一年八月三一日萩市岡野鶴一に対し一九五六年式自動三輪車くろがね号KHC一・五トン積が売り渡されたが、坂を登ることができず同人方の営業に役立たなかつたので、原告会社の承認のもとすでに頭金として受領していた金四万円は原告会社の取得とし、売渡自動車を取戻して売買契約を解除するよう取計い、同年九月一二日阿武郡岡本邦亮に対し一九五六年式自動三輪車くろがね号KF三方囲二トン積が代金七〇万円、うち金二五万円下取車、金四五万円約束手形による割賦払で売り渡されたが、その性能悪く貨物運搬の用をなさないため、原告会社の承諾を得て、下取車及びすでに支払われた金一万五〇〇〇円を原告会社の取得とし、売渡自動車を取戻して売買契約を合意解除とすることに取計い、同月一八日有限会社阿川急配小型貨物自動車に対し一九五六年式自動三輪車くろがね号一・五トン積が金一五万円の下取車をとつて売り渡されたが、性能悪く修理を施すも実用に適しないため、原告会社の承認のもと下取車及びすでに支払われた金六万円を原告会社の取得とし、売渡自動車を取戻して売買契約を合意解除するようにし、同年一〇月二九日長門市長崎町吉広盛彦に対し一九五六年式自動三輪車くろがね号KO一トン積が売り渡され、頭金五万円を受領したが、同人がその余の割賦金を支払わないので、原告会社の指示と承認により、右金五万円を原告会社の取得とし、売渡自動車を取戻して売買契約を解除したのである。

しかして、昭和三一年九月頃尾野時彦に対し自動三輪車くろがね号を売り渡しているが、同人は原告会社から請求があれば何時でも代金を支払う用意があるとのことであり、また同月一三日手島幸雄に対し中古三輪自動車が代金二〇万円、うち金八万円下取車、金三万円現金、金九万円割賦払で売り渡されたが、同人から目的物が違うとの申出があり、その処理につき紛争を生じ現在まで未解決となつている状況である。

従つて、仮りに被告会社がその取次ないし仲介にかゝる件につき原告会社から何らかの責任を追及されることがあるにもせよ、右に述べた各売買代金額については何ら責任を問わるべきいわれはない。

四  次に、原告会社は被告会社が自動車売買に際し受け取つた下取車を下取価格よりも安価に売却したというのであるが、被告会社はそのような売却処分を行つたことはない。被告会社は下取車を使用に堪えるよう修理して原告会社に引き渡したのであるが、原告会社はいわゆる資金繰に苦しみ、被告会社の合意のもと捨値で売却処分したのであつて、被告会社には何らの責任も存しない。

五  仮りに、原告会社主張のように被告会社との間に自動三輪車等の売買取引関係が存在していたにもせよ、取引中の買受代金はすでに全部決済ずみであつて、残債務は存在しない。

証拠〈省略〉

理由

一  (原告会社と被告会社との間の関係について)

原告会社は、被告会社に対し直接自動三輪車くろがね号及びその部品類を継続的に売り渡して来たと主張し、被告会社は原告会社の委託に基いて右製品の売買の仲介若しくは取次販売をしたに過ぎないと主張しているので、まず原告会社と被告会社との間の関係がいかなるものであつたかについて判断する。

成立に争いのない甲第一ないし第三号証、同第四号証の一ないし三二、証人時村広政の証言(第三回)により成立を認め得る同第五号証、証人時村広政の証言(第二、三回)及び被告会社代表者兼被告徳本直助本人尋問の結果(後記措信しない部分を除く)をあわせ考えると、原告会社は山口県において旧日本内燃機株式会社の製造する自動三輪車くろがね号及びその部品を販売することを目的とした会社であつて、昭和三一年五月一八日その頃設立された被告会社との間において、有効期間を一ケ年として被告会社を同県下下関地域において右自動三輪車等の製品類を一手に販売する特約販売店とし、原告会社は被告会社に対し各車種ごとに定めた標準最終価格とこれに対するマージンにより自動三輪車等を供給する義務を負い、被告会社は需要者に自動三輪車を販売するときは頭金として金一〇万円若しくは車種により金一五万円以上又は下取車(但し、別に協定する下取価格表による)を受け取り、残金を六ケ月月賦で完済することを骨子とする自動三輪車等販売契約を結び、以後同年一〇月三〇日頃まで右自動三輪車等の製品類を継続して売り渡していたことが認められる。

この点につき、証人小田重光、同小田卓爾の証言及び被告会社代表者兼被告徳本直助本人尋問の結果によれば、被告会社は原告会社の委託に基きその所有する自動三輪車くろがね号等について下関市一円における需要者と原告会社との間に売買が成立するよう仲介斡旋したものであり、従つて、売買価格下取車の評価その他売買条件はすべて原告会社の指示するとおりに決定され、被告会社は売買成立の都度マージン計算の形で販売手数料を受け取つていたに過ぎないというのであるが、右小田重光の証言自体の中にも需要者に対し直接売主となるのは被告会社であるとの部分があり、需要者である証人岡本邦亮、同岡野綾子、同絹笠蔵夫、同手島幸雄、同吉広盛彦らが一致して被告会社から自動三輪車を買い受けたと証言していることに鑑み、たやすく措信することができない。ことに証人小田重光及び同小田卓爾の証言にみえるように、被告会社がこれを買い受け使用する需要者から自動車の性能が悪いとの抗議や故障を修理してもらいたいとの要求を受けていたとの事実は、まさしく需要者に対する関係では被告会社が売主となつていることを示すものに外ならない。尤も、乙第二号証の一ないし五の記載によると、需要者は原告会社に対し直接自動三輪車を注文するのであり、従つて売主となるのは原告会社であつて、売買契約もまた原告会社と需要者との間に成立するものであるかのようにみえる。しかし、この点は証人時村広政の証言(第三回)によれば、自動三輪車は本来原告会社から被告会社へ、さらに被告会社から需要者へと順次売り渡されるのであるが、自動車登録原簿上所有権移転登録をなす際中間に存する被告会社に対する所有権移転登録の過程を省略し、直接原告会社から需要者に対し所有権移転登録を行うのが便宜であるので、これと符号するよう需要者から直接原告会社に宛てた右乙第二号証の一ないし五等の注文契約書を徴していたことが認められるので、右認定の事実を覆するものとは考えられない。

問題はむしろ、被告会社は原告会社の委託を受けて右自動三輪車等の販売を行うものではないかとの点にある。

すなわち、前掲甲第一、第三号証によると、被告会社は原告会社の承認を得て需要者に対する販売条件を定め、売渡後需要者から受け取つた頭金、割賦払のための約束手形、下取車等総代金を直ちに原告会社に引き渡し、原告会社からマージンを受領するとの契約条項があり、被告会社は原告会社に対しては自動三輪車の販売を委託された受任者の立場にあるのではないかともみられるのである。しかしながら、前掲甲第二号証中には、被告会社は昭和三一年五月一八日附の取次販売店契約に基き原告会社に対し直接自動三輪車製品代金債務を負う旨の記載があり、証人時村広政(第二、三回)も原告会社が被告会社に自動三輪車を引き渡すときはこれを売掛として記帳するのであり、被告会社は原告会社に対し直接相互に協定した代金支払の義務を負うものである旨を証言しており、前掲甲第一、第三号証も右証言をあわせて仔細に検討してみると、被告会社は本来甲第三号証の協定書に定める標準最終価格からこれに対するマージンを差し引いた価格を原告会社からの仕入勘定とすべきものであり、被告会社が自動三輪車を右標準最終価格よりも高値に売却したときはすべて被告会社の利益となり、これを安値に売却したときは右標準最終価格につき定められたマージンから差額を差し引いた部分のみが被告会社の利益となること、被告会社は需要者から下取りした自動車の廃車又は移転に関する一切の書類を原告会社に引き渡すものの、その下取価格については被告会社が全面的に支払の責任を負うとともにこれが売却を行い、下取価格よりも高値に売却したときは被告会社の利益となること、従つて原告会社が被告会社に対し自動三輪車等の製品を供給するというのは売買としての意味合いにおいてであることを定めたものに外ならないことが認められ、被告会社が需要者から受け取つた頭金、割賦払のための約束手形等を直ちに原告会社に引き渡すべきものとされているのは、原告会社において代金回収を便宜かつ確実ならしめるためにとられた手段であると考えられる。このことは、被告会社が需要者から受領した代金支払の約束手形を単に原告会社に手交しているのではなく、これに裏書した上交付しているという(甲第四号証の一ないし三二によつて明らかである)事実によつても確かめられる。

右に説明した外、他にさきの認定を揺り動かすような措信すべき証拠は存在しない。

しかして、前掲甲第一、第二号証によると、被告会社は昭和三一年五、六月頃原告会社に対し負担する債務につき弁済期後金一〇〇円につき一日金五銭の遅延損害金を支払うことをあわせて約し、被告徳本直助は同年五月一八日被告会社が原告会社との間の特約販売店契約に基き原告会社に対し負うことあるべき一切の債務について連帯保証をしたことが認められる。これに反する被告会社代表者兼被告徳本直助本人尋問の結果は、とうてい措信するに値しない。

二  (原告会社の債権額について)

被告会社は、原告会社の指示或はその承諾を得て、需要者から売渡自動三輪車を引き揚げ、売買契約を合意解除したことがある旨を縷々主張するのであるが、前段において説明したところによれば、原告会社は需要者に対しては売主たるの地位に立つものではないことが明らかであるから、右の点はそれだけで直ちに原告会社と被告会社との間の債権債務関係に何らかの影響を及ぼすものとして考慮するの要をみない。

そこで、以下自動三輪車の売掛残代金から順次原告会社の被告会社に対する残債権額について判断する。

(一)  自動三輪車の売掛残代金

この点につき、証人時村広政は第一回証言の際、被告会社に対する自動三輪車の売掛による手形未決済分の代金は金八九万五〇〇〇円であり、被告会社が需要者より取り立てて約定どおり原告会社に引き渡さないものが金一一万円ある旨を証言している。しかしながら、同証人は第三回証言において被告会社に対する自動三輪車の売掛残代金は、ほぼ前掲第四号証の一ないし三二の約束手形のうち尾野時彦、有限会社阿川急配小型貨物自動車共同振出にかかる同号証の八、九及び一三ないし一五の約束手形を除いた合計額(これを算定すると金七六万五〇〇〇円となる)であるという趣旨の多少違つた証言をしており、しかも、前段においてすでに触れたように原告会社においては被告会社において自動三輪車を売渡したときはこれを売掛勘定として記帳しているというのであるから、右残債権額はこれを売掛台帳の記載を以ていかなる自動三輪車何台その代金いくばくというがごとくに認定するのが最も正鵠を得たものであつて単に右証言のみを以てしては残債権の存在することはこれを推定し得るも、果してそれがいくばくであるかについてはこれを確定するに充分なものとはなし難いといわなければならない。しかるに、本件においては右の記載の存する売掛台帳等の提出もなく、他に右自動三輪車売掛残代金の存在を認めるに足りるような措信すべき証拠も存在しない。しからば、この点に関する原告会社の請求は失当として排斥せざるを得ない。

(二)  部品類の売掛残代金

前掲甲第五号証、証人時村広政の証言(第一、三回)によれば、原告会社は昭和三一年六月頃から同年一〇月三〇日までの間被告会社に対し自動三輪車のピストン、リング、バルブその他の部品類を売り渡し、現に少くとも金五万五五七五円の売掛残代金債権を有することが認められる。この認定を覆すに足りるような措信すべき証拠は存しない。

(三)  下取車の評価価格と売却価格との差額金

すでに繰り返えし述べたように原告会社は被告会社に対し自動三輪車を売り渡したときは、これを売掛勘定とするのである。そうしてみれば、被告会社が需要者に対し自動三輪車を売却する際下取車を取つたかどうか、ないしはその評価額をいかように定めたかということは、それによつて原告会社の被告会社に対する代金債権に何らの消長をも及ぼすものではない。前掲甲第三号証の協定書中には、「下取車は被告会社において販売責任を負うものとし、――下取価格より安く販売せるときは下取金額との差額を被告会社は自己振出の手形にて補充するものとする」との条項があり、あたかも被告会社が下取車を評価価格よりも安く売却したときは、原告会社は被告会社に対しその差額金を請求できるかのようであるけれども、右は原告会社が被告会社に対し自動三輪車売掛代金と別個にその差額金を請求し得るという趣旨ではなく、原告会社と被告会社との間の協定にあつては、自動三輪車の買掛代金の支払について被告会社は需要者から受領した頭金、割賦払のための約束手形、下取車等総代金を原告会社に引き渡してこれをなすものとされているため、下取車の下取価格についても当然全面的にその支払の責任を負うことを表現するものに外ならないのである。従つて、自動三輪車の売掛残代金の請求をしながらさらに右の下取車差額金を請求することは、実に二重の請求をなすものといわなければならない。

証人時村広政(第一、二回)、証人小田卓爾の各証言、原告会社代表者大塚幸作及び被告会社代表兼被告徳本直助各本人尋問の結果をあわせれば、原告会社は昭和三二年一月頃から同年四月頃にかけ被告会社とともに又はその了承のもとに被告会社が下取りした車を合計五台の引渡を受けて他へ売却し、被告会社に対する売掛代金の未済額に充てようとしたが、下取価格よりも遥かに下廻わる金員を得たに過ぎず、その差額金合計額は金三九万五〇〇〇円であることが大体認められる。しかし、右に述べたところから明らかなようにこの差額金の請求が認容されるためには、それが未払の自動三輪車代金の一部であること、すなわち、右売却の下取車がいずれも未払の自動三輪車代金の一部として下取りされていることが必要であるが、果してそうであるかどうかについては本件に現われた全証拠を以てしてもこれを確認することができない。

してみれば、この点に関する原告会社の請求もまた失当として排斥を免れざるものである。

従つて、本件においては、原告会社は被告会社に対し部品類売掛残代金として金五万五五七五円の請求権を有することのみを肯認することができる。

なお、被告らは被告会社と原告会社との間の取引はすでに全部決済ずみであつて、残債務は存在しない旨を主張しているが、この点を認めるに足りる証拠は少しも見出すことができない。

三  (結び)

以上のとおりであるから、被告らは原告会社に対し金五万五五七五円及びこれに対する本訴状送達の日であることが記録に徴し明らかな昭和三二年九月三〇日から支払ずみまで金一〇〇円につき一日金五銭の約定遅延損害金を支払うべき義務あるも、その余の義務は遂にこれを認め得ないものである。よつて、原告会社の本訴請求を右の限度において認容すべきものとし、その余の請求を棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条第九二条第九三条を、仮執行の宣言について同法第一九六条を各適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 鈴木醇一)

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